布施英利さん

の院生に講義をして欲しいと茂木健一郎さんに誘われて東京芸大に出向く。以前にも大学祭の実行委員になったデザイン科の鷹野くんの企画で、船越桂さんとやなぎみわさんの三人でトークをしたので迷わずに来れた。僕は京都芸大の出身で、一回生の時に三美祭(東京芸大、京都芸大、金沢美大)という合同体育大会のような行事に乗っかってバレーボールをしに上野にやってきたこともあったっけ・・。あまりに長い時が横たわり昨年の再訪時は別の空間に来たように思ったものだ。そのとき、船越さんとトークを終えて食堂でくつろいでいたら、おやじさんが満面の笑みをたたえつつ現れて「先生〜ご立派になられましたな〜」と桂さんを出迎えて、とっときの赤ワインを注ぐ姿を目の当たりにして「ああ芸術大学や〜〜」と妙に感動して思わず涙というシーンもあった。やっぱ東京芸大やな〜。国立はええなあ〜。
などと感傷にひたりつつ、茂木先生と落ち合って一旦研究室に向かってから教室でレクチャーを始めた。初対面でもあり、僕の辿ってきた道筋などを中心に2時間程度話をして質問に移ると、早速手があがる。なかなか講義でも質問とかする若者が少ないので喜んでいると「バッタの形はアートとしてぜんぜんイケテナイ!」という鋭い指摘。その後20分くらい彼と率直な意見交換をしているうちに時間が終了。彼は美のための美を、僕はシステムの美を見つめるという根本的な相違点が明らかになってとても良いトークだった。
そのあと飲み屋に向かう。途中で束芋さんも合流、なんとガンガン僕に質問した彼が最後まで隣で、自作のファイルを見せてくれたので、いろいろアウトプットのアドバイスもする。そうか〜彼らも何かしらんとことん話し合う大人にめぐり合うことが無かったのかもな〜と思うと、ますます教育現場やこの国が抱えている問題に激突する思いがしてしまった。終電ぎりぎりまで話し込んでディーラーのO氏が提供してくれた御殿山のマンションに戻る。彼と再会し、結局午前4時まで飲みながら話をして眠りこんだ。枕元に新しく入手したという鎌倉時代愛染明王あり。床暖房が熱すぎてうなされつつ愛染さんに追いかけられてる夢を見た