怒濤のワークショップ

曲者じゃ!

が始まろうとしている。昨夜は小山田さんと小林さんのレジデンスで同宿したので深夜まで焼酎で国際情勢の話で盛り上がった、彼も僕も高嶺君も偏屈というのか京都芸大の良い香りを出しているので社会的な話題で長時間話し合うことができる。ほんとうは久々に会ったので朝まで話をしたいのだが、なにせ今日はワークショップ本番。夜の田んぼパーティーに必ず行くよという約束をもらって床に就くなり朝が来た。8時にTAPの柴田さんが車で迎えに来てくれるとのことで、ぎりぎりまで寝てやろうと思っていたのに45分に玄関先でドンドンされて、大慌てで荷物をまとめてズボンをはいて飛び出した。こんなことで体力持つのかなあとやや不安になりながら造園家の桜井さんの家までトラックを借りにゆく。このトラックを使って忍術基地から窯象やら荷物を田んぼへと大移動させなければならないが、発電機は市長さんから借りてトラックは桜井さん。家は小林さんのレジデンス。ほんとうに市民の分厚い協力体制に感服する。
 簡単に車の操作のことをお聞きしてすぐに忍術研究所へと出動した。研究所へ行くとすでにコアメンバーは集結して作業をしている。朝の竹の間伐から公募していたのだが、さすが8時ということもあり一般からの参加者はたった1名;;)田んぼのセットアップが大変だろうということでそちらに主力をまわし、竹の間伐は大阪から馳せ参じた嶋本昭三さんの直弟子コップ人間の西本君と帝塚山のゼミ生菱川嬢と、前回竹切りを楽しめなかった浅ちゃんと井上さんの取手組あわせて5人で行う。そこに途中から東京から愛知博の映像作成のために取材で来てくれた福田君(バッタのCGを作った)が加わった。おまけに大阪のIMIから今年の現代美術コースのエース福田まやちゃんが!ななななんと!オレンジのKAWASAKI ZX1000にまたがって夜討ち朝駆けで取手までやって来てくれたではないか(一同驚愕、取手女子チームは感動の嵐)。これはほとんど戦国時代村ではないかと我が目を疑いつつ竹林へと向かった。
 しかししっかし放置林はエグイ。今日のポイントは比較的良い状態の竹林なのだが、数人で切っていても一向に埒があかない。切り倒しはいとも簡単なのだが、あとの枝や葉の始末に相当の時間を費やす。今日の場所は竹林の前に持ち主の田んぼがあり、そこに処分した笹の葉や先端の不要部分を山積みしておけば、あとでとんど焼きに使ってくれるので問題無いが、全国規模のグリーンレスキューに発展させる場合この処分先が問題になりそうだ。もちろん自治体の協力のもとに行うので、当然焼却場にトラックで輸送ということはあり得るが、それでは本末転倒。自然乾燥の後に野積みで焼却して焼き畑のように田んぼの肥料にできなければ意味が無い。
 そうこうしているうちに最初は勢いの良かった西本君もだんだんペースダウン。撮影用で何度も切り倒すものだから枝打ちだけで僕も手がだんだんしびれて来た。しかし、あとのスケジュールを考えると竹ばかり切ってもいられない。ちょうど食事班(感謝感謝!)がカレーの炊き出しを用意してくれたので田んぼへと向かう。30日の予行のあと反省をきちんとしてメンバーを配分していたので、若干の時間の遅れはあるものの旗の設置やテントや窯の用意も順調に進む。昨日まで雨だったので実施を危ぶんでいたのだが、ほんとうにここの田んぼは水はけが良い。広大な平野にふわふわの土、なんとも言えない気分で誰かれなくニヤニヤしているのが面白い。それにも増して、こんな真面目とも不謹慎ともつかない僕たちを市長は嫌な顔ひとつせず実に暖かく見守ってくれる。点火がずれこんで3時近くになったのにお忙しい体を空けて点火式に望んでいただいた。
 は〜。なんと言うのかめちゃくちゃいろんなことが不思議である。我ながらなんでこんな格好で普通に市長とちょけているのか理解に苦しむ;;が、学生も大人も垣根なく楽しんでいる空気が良いのかもしれないと思うのであった……

 さてさて今日はなんとも長い一日、これでようやく三分の一という雰囲気。最強の調理班にはグルメ森氏が加わって火起こしからクッキングまで腕をふるってくれている。青木さんの事務所の横山さんも天狗の舞を土産に(さっそく飲んでみたら超旨い)来てくれた、相馬さんは風邪をこじらせ泣く泣くリタイアの電話。小山田さんや熊倉さんご夫妻も夕暮れとともに集まりはじめ、気がつくと真っ白な煙を豪快に吐き出す窯象の周囲にはかがり火やたき火のまわりに大勢の人が山のように集まっていた。かがり火に照らされる人々の笑顔がなんとも気持ちがよい。僕は竹搾液が激しく出てくるので窯象の面倒に追われてお客さんとの対応もままならず、みなさん勝手に盛り上がってもらうのを眺めるのみ、結局深夜近くまで残った人もいて車を呼んだりしながら三々五々散らばってゆく。窯象も今日は絶好調で12時をすぎるころにはほぼ完全に冷却に入ることができた。

 ………結局。明け方の雨でびしょぬれになった田んぼのテントでみんな雑魚寝で20人ほどが野宿。いやはやこの楽しさはやめられません!!