武道

は昔からどうも苦手だった。中学ではじめた剣道は、闘鶏のシャモみたいな絶叫と、防具にびっしり生えるカビが嫌で初段も取らずに止めてしまった。高校になって正課となった柔道は、ゴワゴワの胴着が異様に不愉快で、体育の授業だけで十分と思って二度とやる気が起こらなかった。どちらも叩かれたら痛いし、投げられたら息が止まるし、押さえ込みなんか食らったら失神することも珍しくない。よほど気丈じゃないと武道には向かないと諦めて、以後球技専門に転向する。もちろん我が家の二人の息子も、僕に似たのか武道には関心を示さずに、そのころ流行っていたスラムダンクにあこがれて、さっさとバスケットボール部に入ってしまう。
はてさて、なんと軟弱な男どもめが!と思うものの、世の中よほどの家系でもないかぎり、おおむねこんな連中ばかりかもしれない。息子達の仲間を見渡しても、柔道や剣道や相撲といった伝統的なスポーツには誰一人いないし、第一競技人口なんてほとんど無いんじゃないかと思ってしまう。

そんな若者に見捨てられた競技がオリンピックでは強いではないか!!!サッカーやバレーボールと言った高校生に人気のスポーツのひ弱さを尻目に、あのかび臭くて痛い柔道が実に堂々たる闘いをしている。もちろんお家芸だと言う人もいるかもしれないが、いまや柔道は世界スポーツであり、そんなに簡単に世界を制覇できるような競技ではもはや無い。金メダルを取った選手達は、何らかの逆境を味わいそしてより逞しくなって戻って来たのだ。それにひきかえ、観客に甘やかされたサッカーやバレーボールの不振ぶりが気がかりである。緒戦を大勝したが、金に甘やかさることでは筆頭株の、プロ野球選手も窮地に立てば浮き足立つ可能性大と見る。イチローや松井であればなんなく組み伏せるに違いないのだが、あのランクの精神力を持つ選手が長島JAPANにいるのだろうか?

ぜひとも悔いの残らない闘いをして欲しい。