アレッポとフルドセル

syria

シリアという国がある。深い歴史に彩られ地中海とイラクに挟まれて時代の荒波のなかで実に堂々と生きている国だ。ここの首都ダマスカスには十字軍戦争の英雄サラディンの墓もある。当然宗教はイスラム教なのだが4000年を越える歴史を有し、農耕を始め都市を創造し、文字を生み出して歴史を記述しはじめた民族にとってイスラムはまだまだ新しい文化のひとつにしかすぎない。こうして雄大な歴史の重みを今に伝える国なのだが、日本の人々には遥か遠い国や戦乱の国としか想われていないのが残念だ。旧約聖書の物語や中東の歴史はなかなかなじみにくいかもしれないが、今のように西欧が世界の中心になったのはつい最近のことにしかすぎない。
http://www.ne.jp/asahi/eden/kanata/syria/index.html

そして夏がやってくると無性に旅に出たくなる。蒼い海青い空、歴史のことを想うだけで旅情がかきたてられて息苦しくなる。旅の思い出や次の旅への夢をつむいだシンドバッドの冒険も、いまは殺伐として荒廃してしまったバグダッドの夢。そして旅はちいさな思い出やわずかな匂いからもよみがえる。

・・・オリーブ石鹸の濃密な匂いや岩塩のほのかな甘さには、旅の記憶を再生する力があるのかもしれない。今夜もケミカルなシャンプーなど使わずにアレッポのオリーブ石鹸で全身を流した。キリキリ冷やしたシャルドネ、削った黒パンにフランスの岩塩を少しのせてかじると、夢はメソポタミアの尖塔(バベル)にかけのぼる。

神の与えし「ことば」に感謝。