20日のトークご案内

unboy2006-06-16

地球回廊トークライブ開催

地球回廊の竹村真一教授と地球環境問題について考える夕べを企画しました。アート&サイエンスという言葉が叫ばれて久しいなかで、アートやデザインの大学に科学的な素養や考え方を根付かせることには大きな壁が立ちはだかっています。理系と文系というカテゴライズが意味もなく人間の想像力を分断してしまったなかで、どうすれば科学的な思考方法や楽しさをデザイン系の学生にも理解してもらえるのか・・。竹村先生と地味な取り組みをはじめます。今後宇宙物理の嶺重先生やナノテクノロジーの生田先生など素敵な科学者の方々をお招きしながら連続講座にしてゆきたいと思っています。

日時 6月20日(火) 17:45〜19:45

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 京都造形芸術大学・地球回廊プレゼンツ

   キャンドルナイトトークイベント

      椿昇 × 竹村真一

「地球の考え方ー京都から地球を考えるー」

    6月20日(火)17:45〜19:45

  京都造形芸術大学 楽心荘 能舞台 にて

 *雨天時は「人間館4階NA401」にて

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      参加費 無料
      事前受付なし

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     京都造形芸術大学
京都市左京区北白川瓜生山2-116

  交通・アクセス
http://www.kyoto-art.ac.jp/
出町柳方面から 市バス3系統 造形大行き「上終町京都造形芸大前」
京都駅方面から 市バス5系統 岩倉行き「上終町京都造形芸大前」
北大路方面から 市バス204系統「上終町京都造形芸大前」

 お問い合わせ:090-7537-7933(担当:フジノ)

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<地球文化の編集ノードとしての京都>

かな文字による1000年前の女流文学の実験、世界宗教史のなかでもユニークな鎌倉新仏教の誕生、「茶」や「花」の芸能としての洗練、能や歌舞伎といったマルチメディアOSのデザイン・・・。京都は歴史を通じて、つねにラディカルな文化創造の拠点でした。

いうまでもなく、その背景にはダイナミックな地球文化の交流がありました。
それはたとえば桓武天皇秦氏空海といった平安京を開いた先導者たちが、ことごとく渡来系の血をひく人々であったこと、あるいは祇園祭の山鉾が"大航海時代の世界文化の編集装置"とでもいわんばかりに、インドやヨーロッパの壮麗な織物をディスプレイした動くミュージアムとなっていることなどにも表れています。伝統を守り続ける古いまちという通俗的なイメージに反して、京都はいつの時代にも、現代のニューヨークやベルリンのような地球文化のリミックス拠点、実験創造のフロンティアだったのです。

京都の力とは、こうした「能動的な受信能力」にあるのかもしれません。単一のコードを世界に声高に発信(=ブロードキャスト)するよりも、むしろ透明なブロードスキャナーとして世界の動向に聴き耳をたて、さまざまなソフトウエアをみずからの内部に抱え込んで窯変させる力。世界の多様性にみずからを開き、それが交差・交配するノード(交差点・回廊)として京都という場を世界に貸し与えること・・。京都議定書」という現代の画期的な地球的コラボレーションの成果も、このような京都の場の力によって生み出されたものに違いありません。

そして私たちの「地球回廊」という試みがこの京都で始まりつつあるのも、その意味で必然というべきかもしれません。京都はその歴史を通じてまさに世界文化が交差する「回廊」だったのであり、こうした場所の文化遺伝子を受け継ぎつつ、21世紀のグローバルな「窓」を開く実験として自らを磨いていきたいと思います。

竹村真一 Shinichi Takemura 文化人類学者。京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。100万人のキャンドルナイト発起人。地球回廊プロジェクト提案者。

<京都から地球を考える>

21世紀を迎えて京都は世界のなかで新しい価値を持ちつつあるように思います。地球温暖化防止に向けた取り組みとしてランドマークとなった京都議定書は「キョウト・プロトコル」として世界の人々の心に新たな意味を芽生えさせました。そのほかにも世界の問題を考える会議が数多く開催され、ノーベル賞ほど知名度は高くはないものの、京都賞は知性の世界において確固たる位置を占めつつあります。昨年は世界アーティストサミットが京都造形大学で開催され、大きな反響を呼びました。

私も海外で多くの仕事をしてきましたが、KYOTOという響きは独特の尊敬の念を持って受け入れられています。それは単に千年の歴史を有し、モダニズムをはじめとする世界の意識を牽引してきたという点にとどまらず、持続可能な世界を未来に引きつぐ理念形成を受け持つという意味で、重大なな責任を世界から付託されているということでもあります。私達は慎重に伝統を受け継ぎながらも、新しい世界理念を牽引するという役割を強く意識しながら、世界に向けて地球レベルのアイデンティティーをKYOTOブランドとして発信してゆかねばならないと考えています。

未来を考えるきっかけとして、『われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか』という画家ゴーガンの問いかけの重さはますます重要度を増しているのです。科学とアートを融合させ「持続可能な社会」を実現するために、この新しい地球の周辺に集まろうではありませんか。

椿昇 Noboru Tsubaki アーティスト。京都造形芸術大学・空間演出デザイン学科主任。地球環境センター客員研究員。