ニュイ・ブランシュ

たった一夜のアートイベント

前日に機材の積み込みがあるので出発時間変更という連絡がHISからあった。飛行場で5時間も遅れたら閉口するけれど前日の連絡はありがたかった。TAPのPJ関係もいろいろ片付いたしパリ着も午後8時になったものの、お目当てのパリ市あげてのアートのお祭り「ニュイ・ブランシュ」は10月2日の深夜のお祭り。プロジェクションや光の作品が多いので素晴らしいタイミングだった。
AFのシャトルバス(10ユーロ)で凱旋門。そこからTAXI(17ユーロ)でドメニルのホテルReuillyへ。早速日本で準備しておいたボーダフォンのV66で相馬さんに連絡する。普段はAUを使っているが、グローバルパスポートは高いし通話可能エリアが限定されていてほとんど役に立たない。それにひきかえモトローラ製のV66を使ったローミングサービスは韓国以外全世界網羅で、パレスチナでもガンガン使えるというのが最高。もちろん国内では使えないが、もし使わなければ月500円程度の維持費である。公衆電話を探したり、ホテルから高い通話料を払うくらいならこれはオススメ。通話品質も隣にいるように日本と話せる。
国内でいつも時差ぼけ生活?を送っているせいで、ほとんど疲れも無く荷物を置いて10分後には中心部の市庁舎に向けて繰り出した。凄い凄い。とにかくアート作品などどうでもいいくらい人がいる。パリジャンのパトリック氏もなぜこんなに人がいるのかと驚く。これがアートの力?
結局市庁舎前の行列は想像を絶する長さなので諦めてポンピドーの方に歩いてゆく。こんな夜中なのにどこもかしこも人の海。これから長く暗い秋と冬が始まるパリの人たちにとって3年前に始まったこのお祭りは新しい楽しみのひとつになったようだ。聞けば郊外の若者達も親にニュイブランシュに行くからと言う口実でパリに集まって夜通し騒ぐことが楽しみとのこと。ここフランスでも「アートだから」というエクスキューズは有効のようだ。
パリジャンの彼は「田舎のお祭り」だからといって半ば閉口しているようだったが、僕には郊外から来る若者がとても微笑ましく思えた。日本の60年代のような初々しさが彼らにはある。援助交際が当たり前の渋谷の風景を見慣れてしまうと、とてもノスタルジックで、即物的なSEXの前に人間同士の感情が正確に保存さていると感じた。ヨーロッパに来るといつも思う。変わらなくてもよいもの、変えなくてもよいものを見事に維持する力のあることを。