総合学習で

不気味な仲間

神戸の高校で授業をした。アートと時事問題をからめながら100分の講座で、高校3年の希望者が選択している。もちろん美大志望の学生も何人かいるが、半数以上は一般の学部を目指している。こんな状況だから普通は受験に必要の無い科目には欠席が目立ち、集中力を欠いたりするものだと思っていたが、驚異的に4月から9月まで全員皆勤で遅刻も無い。野球で言えば完全試合というノリである。話の内容はいかにわかりやすくとは言えチョムスキーの話や金融の話まで飛び出すので決して理解しやすいとは言いがたいのだが、食いつきはいい。

それならばということで、今回は10月からコラボレーションが始まるパレスチナの劇団「アルカサバ」の舞台を見せた。一見単調な舞台で言葉の羅列。ロシアがチェチェンイスラエルパレスチナを支配するなかで起こったテロのニュースが流れるなかで、彼女達には決して心地よいとは言いがたい数十分が流れてゆく。僕は画面よりもそれをじっと見つめている高校生の表情を見ていた。人の表情は目に苦く心に苦しい出来事に直面しながら深まり、そして成長してゆくのだなとしみじみ思った。

放課後質問に来た生徒の表情が、心なしか引き締まっているように思えて嬉しかった。