ティムバートン

bigfish

大好きでほとんどのDVDを持っているのですが、そのなかでも最新作の「ビッグフィッシュ」は最高でした。もう映画とかファンタジーとか言うレベルを超えた人類の今を根底から考えなおさねばならないと思うほどのできばえでした。月に2〜3回映画館に行くペースが、あの作品を見てからは満足というか満ち足りてしまってなにも見たくない症候群。だからトロイとかも一応チェックしておこうとは思うものの、まだ余韻を楽しんでます。ティムバートンといえば、息子たちを育てるときも「ピーウィーの大冒険」をアメリカから買って帰って、擦り切れるほど見せた記憶がよみがえりました。

ビッグフィッシュには観客それぞれに思いがあり、男の子の父親はより泣きじゃくるとか、初老の夫婦はもっと感動するとかさまざまなレイヤーで感動できるのですが、僕が号泣しそうになったのはお父さんの葬式の場面!お父さんが息子に語った「つくり話」が、嘘とも真とも言い切れない未分化な領域に漂う超常現象のように完璧に表現されていたこと。そして「現実」が君主のように横暴に「夢」をしいたげる我々の貧しい日常そのものを完膚なきまでにティムバートンがやっつけたこと。

僕は何年もこの映画のことを思い出して幸せな気分にひたれると思います。そして不思議なことに二度とこの映画を見たくないという気分とともに・・・とにかく2チャンネルなどの皮肉な表現を見ても、いろんな漫画を見てもはっきり言ってみんな病んでる自分に自己満足してるんじゃないかと思うことが多いなか、彼が見せた奇跡はほんとうに尊敬に値するものでした。