飯屋と飲み屋は外すと友情もジ・エンド

再開発でここだけが残ってる

というのが文化武芸者の居合い抜きの楽しさである。阿倍野で映画祭があったので二日連続で鑑賞しながら、プログラムの合間を縫うように食事に出る。僕は高校時代美術部にいたので、大阪市天王寺美術館にはよく来ていたが、恥ずかしいことに昨日が始めての阿倍野体験であった。
しかし初体験の街であっても「こぼん吉村氏」と僕が歩けば、居合いの達人がどこに潜んでいるかを瞬時に見抜く。まずはカレー屋「ハイシ」!http://www.saikaku.co.jp/haisi/

うどんでもいいかなと思いながら通りを歩いていると、ふっとビリケンさんの横の奇妙な形のドアがある。これは何かあるなと思って隙間からちょいと覗いてみると、にこにこ顔のねえさんとバッチリ目が合ってしまった。俺はラーメンの鉄人だ!みたいな勘違い野郎なんてこの街では誰も相手にしないが、凄い味出してるのに、にこにこされると一発で参る。のどちんこの奥で野菜の甘みをほわ〜っと出してくれことに感動して、ついつい厚かましくルーを途中で追加してと頼み込んだら、なんとタダでええがな〜と言って振り出しに戻るくらい大盛りしてくれた。

大阪の人はいつも温かい。誰もが相手を退屈させんように一生懸命喋りかける。美味いもんを飾らずさりげなく出しながら今日も旅人をもてなしてくれる。外国から来た学生達が大阪の人間が好きと言ったり、ビッグイッシューは東京では売りにくいということがよ〜〜〜くわかった昼下がりであった。

PS:67年前からやってる斜め向かいの居酒屋「明治屋」(女人禁制30歳以下禁止がベター?)もいい。13時からやってるから、近所の銭湯で一風呂あびて、常連さんたちと月桂冠やら日本盛の熱燗をやりながら、ほろよい気分の昼下がりなんてのは最高の贅沢だ。日本で絶滅しそうな「まっとうなオヤジ」たちがまだここには生き残っているぞ。